現在、劇場での一般的なデジタル上映は、DCPかブルーレイで行われています。
シネコンなどで使われているDCPはデータ量も多く、映像も音声も全く問題ない状態で再現できます。
ただ、素材の製作と上映時に、相当なコストがかかります。
また、DCP用のプロジェクターも非常に高価で、小さな劇場では簡単には購入できません。
したがって、小さな劇場、小さな映画の場合、ブルーレイプレーヤーを使っての、ブルーレイ上映になります。
ブルーレイ上映の場合、それまでのDVD上映に比べてはるかに高画質な上映が可能になりましたが、それでもDCPに比べると見劣りするのと、ブルーレイディスクを作るときの手間やコストもかかります。
ディスクとデッキの相性の問題もあって、ディスクをデッキが読み込まない、という事態も起こったりします。
そんなところに、パソコンで編集したデータをブルーレイ用に圧縮しないで、フルハイヴィジョンのまま上映できるやり方がある、という知らせが届きました。
今回の爆音映画祭では、ドン・ハーツフェルトの『きっとすべて大丈夫』を35ミリ・フィルムで上映することをうたっていたのですが、ハーツフェルト監督から、この映画の場合フィルムを作って持ち運ぶより、ハードディスクにデータを置いてパソコンから直接上映するやり方がベストなのだと、そんなサジェスチョンをいただいたのです。
編集データをProRes422というフォーマットに直してハードディスクに保存して、それをパソコン上でプレイしたものをプロジェクターに伝える、というやり方です。
実験してみた結果、DCPとブルーレイのちょうど中間くらいの見え方になっているように思えます。
画質はほとんどブルーレイと変わらないのですが、動きが激しいシーンの乱れはなく、非常に滑らかなのと、明るい部分のぎらつきがなくて、素直に画面を見られる感じです。
今回は牧野貴監督の「Generator」という作品もこのやり方で上映するのですが、この作品は複数の映像をオーヴァーラップさせながら進んでいく作り方をしているので、ひとつの画面の密度が通常の映画に比べてはるかに濃いのです。
ブルーレイやDVDではその密度の濃さや小さく激しく動く画面の転移についていけず、ところどころノイズが出たりしてしまうのですが、ProRes422でやれば問題なし。
上映に使うパソコンを選びますが、とても単純なやり方で上映することができます。
もちろん簡単なだけに、コピー問題など上映以外の問題もあったりするのですが、上映に関しては、今のところこれがベストではないか。
ということで今年の爆音映画祭のデジタル上映のいくつかは、このやり方で上映することにしました。
上映作品は、下記になります。
牧野貴「Generator」「2012 act.3」
牧野貴セレクション「River Rites」「12 Explosion」
※上記は爆音上映するバウス1の上映のみ
※バウス2での上映時はHDVでの上映になります(ProRes422での上映になる可能性もあり)
ドン・ハーツフェルト「きっとすべて大丈夫」
瀬田なつき「5 windows 劇場用再編集ver.」
相澤虎之助「バビロン2 –THE OZAWA」