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□ Jean=Luc Godard ナイト     2005年10月15日〜23日

『勝手に逃げろ/人生』  Sauve qui peut/la vie

1978年/スタンダード/87分
提供:ハピネットピクチャーズ
脚本:アン=マリー・メルヴィル、ジャン=クロード・カリエール
撮影:ウィリアム・ルブチャンスキー、レナート・ベルタ
音楽:ガブリエル・ヤーレ
出演:ジャック・デュトロン、ナタリー・バイ、イザベル・ユペール

『パッション』でフランソワ・ミュジーと出会う前の、最後の長編。ミュジーの繊細かつ狂暴な音のエッジとは違う、大胆かつ野蛮な音の戯れの総決算と言えるだろう。80年代に歩を進めるための最後のジャンプは、「第二の処女作」とゴダール自身に言わしめた最初のステップでもある。その次の人生への逃走/闘争はこれ以降のゴダール映画で常に繰り返されることになるのだが、源にはこの野蛮な音があった。

『右側に気をつけろ』  Soigne Ta Droite

1987年/スタンダード/82分
提供:ハピネットピクチャーズ
脚本:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:カロリーヌ・シャンプチエ
音楽:リタ・ミツコ
録音:フランソワ・ミュジー
出演:ジャン=リュック・ゴダール、ジャック・ヴィルレ、フランソワ・ペリエ、ジェーン・バーキン、リタ・ミツコ

ゴダールとフランソワ・ミュジーが行った映画の音響に関する様々な試みは、『リア王』『ヌーヴェル・ヴァーグ』の中で、宇宙空間において聞こえてくるような透明で狂気すれすれの音響として結実する。そこに向けての最終章でもある『右側に気をつけろ』は、それらの音が生まれる秘密の場所を探求する運動の記録でもある。ドルビー・システムの使用による、目の前を飛び交う音の群れに唖然としながら体験する、探求の旅。

『新ドイツ零年』  Allemagne 90 neuf zero

1991年/スタンダード/62分
提供:ザジフィルムズ
脚本:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:クリストフ・ポロック、アンドレアス・エルバン、ステファン・ベンダ
音楽:リスト、モーツァルト、バッハ、ストラヴィンスキー、ベートーヴェン、ショスタコヴィッチ
録音:フランソワ・ミュジー、ピエール・アラン・ベス
ナレーション:アンドレ・ラバルト
出演:エディ・コンスタンティーヌ、ハンス・ツィシュラー

何かが壊れ、何かが生まれるとき そこではどんな音が聞こえるのか。ゴダール作品の中では音使いが非常に地味なこの作品だが、そこには何かの終わりと何かの誕生の音が詰まっている。一体そこはどこなのか…茫洋と広がる霧に包まれた農地を歩くレミー・コーションの向こう側でゆっくりと動く、見たこともない巨大な耕作機械。その優雅で野性に満ちた音を聴くだけでもこの映画を見る価値がある。

『ヌーヴェルヴァーグ』  Nouvelle vague

1990年/スタンダード/89分
提供:ザジフィルムズ
脚本:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:ウィリアム・ルプチャンスキー
美術:アンヌ=マリー・ミエヴィル
出演:アラン・ドロン、ドミツィアーナ・ジョルダーノ、ロラン・アムステュツ、ラファエル・デルパール

ゴダール=ミュジーの10年間の成果のすべてが、ここに収められている。80年代のすべてをかけて、ふたりはこの映画における澄んだ高音を作り上げてきたのではないか。あるいは、混じりけのない空間を飛び交う音の粒子の一粒一粒を、それぞれの「ひとつの歴史」としてとらえる作業を行ってきたのではないか。それら一粒一粒の音の粒子が「複数の歴史」を形作ることのために。
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