映画は生き物である。フィルムは気が付くと傷ついていて思わぬノイズをたてる。あるいは切れてコマ飛びし、音もまた飛ぶ。そうやって次第に使い物にならなくなっていくわけだが、この映画は違う。そのノイズや音とびもまた味方につけて、あたかもそれを予測していたかのような、懐の深さを見せる。ゾンビの映画ではなく、映画こそゾンビであると、その懐の深さが語る。自らの死も引き受けての、この爆音。完成形はない。上映されるたびにそれが完成されるだけなのだ。デジタル上映ではありえない、フィルムのノイズこそが最大の醍醐味となる、奇跡の音が再び蘇る。