列車の走行シーンをいかに撮るかで監督の才能が分かると、かつて蓮實重彦は語ったが、爆音映画祭としては、「カラオケ・シーンをいかに撮るか」というふうにそれを言い換えてみたい。見事なカラオケ・シーンのある映画を、これまで何本か爆音上映してきた。『憂鬱な楽園』『3-4X10月』『台風クラブ』『レディ・アサシン』・・・。本作では、安室奈美恵の「CAN YOU CELEBRATE?」が歌われる。いつか「爆音カラオケ映画祭」をやってみたいと思わせられる一瞬である。歌を歌う人間の顔とそれを聞く人々の佇まいとが作り出すその部屋に充満する空気が、スクリーンを越えて客席にあふれ出す。ああ、これこそ「国道20号線」の空気だと、誰もがそのとき思うだろう。東京と地方とを結ぶ幻の道のサウンドトラックである。