Pina /ピナ・バウシュ
踊り続けるいのち
これまでもDV やハイヴィジョンなど、映像の最新技術をいち早く取り入れて「その後」の映画作りの
可能性を模索してきたヴェンダース。ピナ・バウシュ(舞踊家、演出・振付家/ドイツ・ブッパタール舞踏団芸術監督)
という希有の対象をそのまま映すのではなく、彼女の軌跡と運動を、3D 映画としてとらえ直す試み。
ひとりではなく多数の存在としての「ピナ・バウシュ」が3D 空間に浮かび上がる。
原題:PINA / 2011 年/ドイツ、フランス、イギリス/ 104 分/
監督・脚本:ヴィム・ヴェンダース/出演:ピナ・バウシュ、ヴッパタール舞踊団ダンサーほか/提供:ギャガ
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世界最古の洞窟壁画3D
忘れられた夢の記憶
3D カメラによって南仏のショーヴェ洞窟に現存する3 万年以上前の壁画が撮影されたこの作品、
どうして平面の壁画を3D にしようと思ったのかとい疑問が一気に吹っ飛ぶ迷宮としての洞窟がそこに。
その迷宮そのものが発しているような音楽が、更に空間感覚を狂わせる。壁画は生きている。
その現在へとこの映画は誘っている。それによって我々の現在が照射される驚愕のラスト、圧巻。
原題:CAVE OF FORGOTTEN DREAMS / 2010 年/アメリカ、フランス/ 90 分/
監督:ヴェルナー・ヘルツォーク/ナレーション:オダギリジョー/提供:スターサンズ/ビターズ・エンド
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ヒューゴの不思議な発明
3D(字幕版)
『月世界旅行』で知られる映画作家ジョルジュ・メリエスにオマージュを捧げた本作を見ると、
映画は元々3Dだったんじゃないかとさえ思える。1930 年代のパリを舞台に、『列車の到着』上映中の
カフェで、画面を見ていた観客が揃って列車を避けるシーンなど、まさに3D。
「見せ物」としての映画の誕生と成長の歴史が、ここに再構築される。3D でしか作り得なかった映画。
原題:HUGO / 2011 年/アメリカ/ 126 分/ 監督:マーティン・スコセッシ/
出演:ベン・キングズレー、サシャ・バロン・コーエン、エイサ・バターフィールド、
クロエ・グレース・モレッツ、ジュード・ロウほか/提供:パラマウント・ジャパン
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ラビット・ホラー 3D
撮影はウォン・カーウァイのカメラマンとして知られるクリストファー・ドイル。
2D であってもまるで迷宮のような出口のない空間をいとも簡単に作り出してしまう彼の、更に
謎が謎を呼び一体どこにいるのか何を見ているのかが分からなくなる3D 空間がここに出現。
3D 映画独特の閉塞感のいたたまれなさが物語と共鳴して、脳髄を直撃。
2011 年/日本/ 83 分 ※PG12/ 監督:清水崇/出演:満島ひかり、渋谷武尊、
緒川たまき、大森南朋、香川照之ほか/提供:ファントム・フィルム
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【スペシャル・プログラム】
ザプルーダー・サンプラー
今回の特別上映のひとつ。日本ではイメージフォーラム・フェスティバルで上映されただけの、
イタリアの実験映画作家チーム、ザプルーダー。数年前から3D作品を積極的に手がけている彼らの作品の中から、
その代表作と言われる「DAIMON」を中心に、彼ら自身のセレクトによる4 作品を顔見世上映。
彼ら独特の時空感覚を是非この機会に!
『DAIMON』2007 年/ 49 分
『JOULE』2010 年/ 24 分 『SUITE』2011 年/ 4 分 『PLETORA. The gift』2012 年/ 15 分 監督・脚本:ダヴィド・ザマーニ、ナディア・ラノッチ/ 撮影監督:モナルド・モレッティ(『SUITE』以外の3 作品に出演) ザプルーダー プロフィール イタリアにて活動するザプルーダー・フィルムメーカーズグループは、冒険的な アートフィルムを低予算で自主制作することを目的として2000 年にダヴィド・ザマーニ、 ナディア・ラノッチ、モナルド・モレッティが設立した非営利団体。その名はケネディ暗殺事件を 偶然に記録したA・ザプルーダーに由来する。05 年から立体知覚についてのリサーチをはじめ、 3D 映像作品は海外映画祭にて多数受賞。http://www.zapruderie.com/ |
タンタンの冒険
ユニコーン号の秘密 3D(字幕版)
ベルギーの作家エルジェによる世界的人気コミック「TINTIN(タンタン)」を原作に、3D というツールを
得たスティーブン・スピルバーグが、まるで子供のように喜んでいるのがそのまま伝わってくるような、
瑞々しいアニメーション。3D でやるならあれをやろうこれをやろうと胸に秘めていた思いが画面に炸裂。
そんな印象さえ受ける生き物のようなアニメの動き。ディズニーが生きていたらこんな3D を作ったかもしれない。
原題:The Adventures of Tintin: The Secret of the Unicorn / 2011 年/アメリカ/ 107 分/
監督:スティーブン・スピルバーグ/声の出演:ジェイミー・ベル、アンディ・サーキス、ダニエル・クレイグ、
ニック・フロスト、サイモン・ペッグほか/提供:東宝東和
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ピラニア3D
2012 年初夏の爆音映画祭でも上映されたこの映画。どうして再びか、というと、
第25 回東京国際映画祭2012の審査委員長として来日するロジャー・コーマン製作の
オリジナル『ピラニア』(1978 年)が、同映画祭で上映されるため。
30 数年前の『ピラニア』との見比べ企画。ふたつの『ピラニア』の間に流れた月日を感じることで、
3D が4D へと変化してくれたらという願いを込めて。
原題:Piranha 3D / 2010 年/アメリカ/ 90 分 ※R15/監督:アレクサンドル・アジャ/
出演:エリザベス・シュー、アダム・スコット、ジェリー・オコンネル、ジェシカ・ゾア、
クリストファー・ロイド、リチャード・ドレイファスほか/提供:ブロードメディア・スタジオ
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ALTOVISION
3D映画というより視覚と聴覚をさまざまな形で刺激しつつ、それを観る者たちの感覚を一気に
変容させていこうという映像と音の実験。3 分の短編映像の連なりを続けて見ていくうちに
自分の脳内で起きる変化を体験する、そんなどちらかといえば音楽的な映像受容をベースにした作品。
45 分で私たちは一体どこまで変われるだろうか?
2008 年/日本/ 48 分/監督:タナカカツキ/提供:ポニーキャニオン ※偏光シートによる疑似3D上映
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湯浅湾『我が道をゆく』ライヴ
× いしいしんじ「その場小説」
高校時代の湯浅学が作った8 ミリ映画『我が道をゆく』。完成してから40 年近くが過ぎようとする今、
その時間を一気に飛び越えて湯浅湾が音楽をつける。40 年前の妄想の音と現在から振り返られた40 年前の可能性の音と、
そして現在の湯浅湾の音とがひとつの映像とともに立ち現れる。
そしてその目眩く時間体験を引き継ぐように、小説家いしいしんじが
バウスのステージを小説空間に変える。バウスの空間から生まれてくる物語をその場で声にして書き付けていく
「その場小説」ライヴである。3年前の夏以来、バウスに再登場。その後、湯浅湾の通常ライヴ。
4th アルバムに取りかかりつつある湯浅湾の新たな音と、洗練を極めたアンサンブルをご堪能あれ。
湯浅湾(ゆあさわん) プロフィール
音楽評論家、湯浅学率いる4 人組。それぞれが独自の個人活動を行う4 人が時に集う「湾」としての演奏集団。
boidより発売の4作目のアルバム準備中。いしいしんじ プロフィール
小説家。ライヴで小説を作り上げていく「その場小説」も行う「その場小説家」でもある。
その集積『その場小説』が11月に幻冬舎より発売になる。
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『月世界旅行』
シークレット・イヴェント 相対性理論と月世界旅行!
マーティン・スコセッシがジョルジュ・メリエスに捧げた『ヒューゴの不思議な発明』。
その中にも『月世界旅行』は登場し、世界中で大ヒットしたものの時代の流れの中で忘れられ、失意のメリエスによって焼却された過程が美しく悲しく語られています。
しかし2001年、焼失されて現存しないと思われていた、『月世界旅行』のカラー版が奇跡的に発見されたのです。ただフィルムはボロボロ、修復不可能かと思われたのですが、そのカラー版のフィルムをデジタル技術で完全修復したのが今回上映する『月世界旅行』です。そして1世紀を越える時を経て蘇ったこの映画に、更に現代のレイヤーを重ね合わせるのがこのシークレット・イヴェントとなります。
音のない1世紀前の夢想が奏でる音を、1世紀後に夢想する。そしてその1世紀を隔てた夢想同士が重なり合い、更に未来へと夢を繋ぐ。そんな現代の音の語り手として、相対性理論が登場。映画上映時間枠内の短い時間ではありますが、未来に向けて作られた1世紀前の映画の音を生み出すという、またとない特別なライヴとして、極上の時間をお楽しみいただけます。
『月世界旅行』原題:Le Voyage dans la Lune / 1902 年/フランス/ 15 分32 秒/ 監督:ジョルジュ・メリエス/提供:エスパース・サロウ
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『国道20号線』×LFB ライヴ
(Guest: 伊東篤宏)
『サウダーヂ』の大ブレイクで、今や世界的な知名度を得た富田克也と空族。
爆音映画祭では3年連続で空族特集を組んできたのだが、その中で唯一やることの出来なかったのが
『国道20 号線』のラストテーマを演奏しているLFB のライヴ。そこで無理矢理にでもやってしまおう
というのが今回の企画。映画終了後、バンドが飛び出す3Dイヴェント。
しかしそれにしても3年ぶりにバウスで爆音上映される『国道20 号線』の危なさは半端ではない。
こちらとあちらの境界線としての20 号線を行ったり来たりするたびに、世界の像が狂っていく。
まさに人力3D。そしてそこに突き刺さるLFB の演奏。
延々と続くラストの音の中に、更に新たな像が立ち上がるはず。
そしてさらに、当日ゲストとして蛍光灯音具オプトロンを駆使する伊東篤宏が登場。音と光の饗宴が繰り広げられることになる
『国道20 号線』
2007 年/日本/ 77 分/監督・編集:富田克也/出演:伊藤仁、りみ、鷹野毅、
村田進二、西村正秀、Shalini Tewari ほか/提供:空族LFB プロフィール
活動の詳細はこちら
98 年結成。山梨をベースに活動中。同じ山梨出身の富田克也監督『国道20 号線』に
エンディング曲「最後の立体的な太陽」を提供。伊東篤宏(いとう あつひろ)プロフィール
98 年からサウンド・パフォーマンスを開始し、蛍光灯を使用した自作音具「オプトロン」を制作。
現在もオプトロンとともに、世界各国のアート、音楽イヴェントで活動中。
お詫びと訂正
11月13日の『国道20号線』とLFBライヴの際にゲスト出演が決まったオプトロンの伊東さんの名前が、チラシ、HPなどで
誤って記載されていました。ただしくは伊東篤宏です。伊東さんはじめ関係者の方々にご迷惑をおかけしました。
お詫びして訂正します。 |
牧野貴×『2012 act.5』ライヴ上映
+『Still in Cosmos』 ※フィルターによる3D化
『2012 act.5』とは、初夏の爆音映画祭でも上映&演奏された『2012 act.3』の続き。 続編ではなくて、上映されるたびに再編集、追加されて2012 年を成長し続け、2012年が終わった時点で完成、という作品。「act.5」とは今年5回目の上映ということ。当然、監督本人によるライヴ演奏も。それに加え、入場時に配布される フィルターを目の前にかざすことにより、作品の見え方が大きく変化する、その立体感と変容の具合もお楽しみくださいとのこと。09 年の作品『Still in Cosmos』も、やはりフィルターで一気に見え方が変容。その困惑と混乱とカオスの宇宙の中に、再度引き込まれることになるでしょう。
牧野貴(まきの たかし)プロフィール
現代日本を代表する実験映画作家。2012 年ロッテルダム映画祭で
『Generator』が短編部門最高賞を受賞。ライヴ上映を行いながら作り上げる『2012』の製作中。
お詫びと訂正
爆音3D映画祭の牧野貴『2012 act.5』ライヴ上映+『Still in Cosmos』の解説文中で、当日使用する]
「NDフィルター」のことを誤って「偏光シート」を記していました。
NDフィルターは、色彩に影響を与えることなく光量を落とす効果をもたらすフィルターです。 光の反射を抑制する偏光フィルターとはまったく別物です。 当日使用するのは「NDフィルター」の方です。 これによって『2012 act.5』と『Still in Cosmos』が3D化されることになります。 また、チラシとHP上の作品区分の中で「2D上映+ライヴ」の枠の中にこの上映が含まれてしまっています。 今回の上映は、あくまでも「NDフィルターで観る3D上映」として行ないます。 NDフィルターで自身の作品を観るというアイデアは牧野監督による発案で、 これによって既に作られた映画が更に成長を遂げる、その変貌を体験していただけたら という願いによる上映となります。 しかし上映とライヴ、という大きな枠組みを優先させてしまったため、結果的にこの上映だけが 分かり難い状態になってしまいました。 11月14日の上映、「牧野貴×『2012 act.5』+『Still in Cosmos』」は、3D上映+ライヴとなります。 牧野貴監督には大変ご迷惑をおかけしました。 お詫びして訂正します。 |
ケミカル・ブラザーズ:
DON’T THINK |
バウスシアターでの4月の爆音上映の狂乱の1週間はまだ記憶に新しい。爆音史上というか、世界の映画上映史上で
これまであり得なかった恐るべき上映が行なわれた。もはやそこは映画館ではなかった。見ている誰もが見る人ではなく、
スクリーンの中の人になった。バウスはフジロックの苗場に変容し、スクリーンはライヴ・ステージに変容した。
それを作り出したのは爆音の中で踊る観客たち。我々が映画を作り出す。そんな事件が起こったのだった。
まさにそれこそ爆音3D 映画祭にふさわしい。スクリーンの向こうとこちらが一体となって新しい何かを作り出す、そんな上映を2 日間限定で。
2011 年/日本・イギリス/ 85 分/監督:アダム・スミス/出演:ケミカル・ブラザーズ/提供:カルチャヴィル
※爆音上映のみ。アーティストによるライヴはありません。
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プロジェクション・マッピング
のもたらす新たな映像体験 講師:Takuma Nakata
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昨年は成蹊大学、今年9月は東京駅を映像でくるんでしまったプロジェクション・マッピング。
平面のスクリーンではなく、既にそこにある立体に映像を投射して、
新たなビジュアル表現を生み出す技術と言えばいいだろうか。まさに街や世界をそのまま映画館に変えてしまう
試みでもある。そんなプロジェクション・マッピングを生み出す技術の詳細と、これまでの活動、
そして今後の展望を一望に見晴らす講演とサンプル上映。バウスシアターが劇場から街へ、内から外へと
変貌を遂げる。(協力:プロジェクションマッピング普及委員会)
Takuma Nakata プロフィール
オランダはユトレヒトでインタラクションデザインを専攻。映像・空間・身体の連動による
インセンティブの設計を研究。その一環としてトルコ、オランダ、イタリア、ドイツなど欧州のフェスを
中心にプロジェクションマッピングや映像演出に携わる。幼少より南半球を転々と育つ。
http://takumatn.com
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11/4(日) | 11/5(月) | 11/6(火) | 11/7(水) | 11/8(木) | 11/9(金) | |
Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち 19:00- (終)20:45 |
タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密 3D 19:00- (終)20:45 |
ザプルーダー・サンプラー 19:00- (終)20:35 |
湯浅湾『我が道をゆく』ライヴ×いしいしんじ「その場小説」 20:15- (終)22:30 |
プロジェクション・マッピングのもたらす新たな映像体験 20:00- (終)21:30 |
Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち 19:00- (終)20:45 |
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タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密 3D 21:10- (終)23:00 |
ピラニア 3D 21:10- (終)22:40 |
ケミカル・ブラザーズ:DON’T THINK 21:05- (終)22:30 |
ALTOVISION 22:00- (終)22:50 |
ケミカル・ブラザーズ:DON’T THINK 21:15- (終)22:40 |
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11/10(土) | 11/11(日) | 11/12(月) | 11/13(火) | 11/14(水) | 11/15(木) | 11/16(金) |
世界最古の洞窟壁画3D 忘れられた夢の記憶 19:00- (終)20:30 |
ピラニア 3D 19:00- (終)20:30 |
ヒューゴの不思議な発明 3D 18:30- (終)20:35 |
『国道20号線』×LFB ライヴ(Guest:伊東篤宏) 20:15- (終)22:15 |
世界最古の洞窟壁画3D 忘れられた夢の記憶 19:00- (終)20:30 |
ラビット・ホラー 3D 19:00- (終)20:25 |
ヒューゴの不思議な発明 3D 19:00- (終)21:05 |
ザプルーダー・サンプラー 21:00- (終)22:35 |
ラビット・ホラー 3D 21:00- (終)22:25 |
『月世界旅行』×相対性理論 22:15- (終)22:35 |
牧野貴×『2012 act.5』 +『Still in Cosmos』 21:30- (終)22:30 |
ALTOVISION 20:50- (終)21:40 |
フラッシュバックメモリーズ 3D 21:30- (終)22:45 |
料金:スケジュール内の枠の色を参照/カッコ内はバウス会員価格 | 回数券 |
1,000円(1,000円) | 3回券 3,500円 別途当日の整理番号受付が必要 |
1,500円(1,000円) | |
2,000円(2,000円) | 使用不可 |
2,500円(2,500円) |